地域の課題としてよくあがる獣害問題。そんな問題を解決するために猪や鹿を狩るのに必要なのが狩猟免許です。
今回は、ネット上で事前講習なしでは100%受からないといううわさが飛び交う狩猟試験(わな)を、事前講習に行かず受けてきました。
本記事では、試験一週間前に事前講習に行かないと絶対に合格できないと知った管理人の絶望と一縷の希望にすがった「蜘蛛の糸」的一週間で、どんな教材を使い、どんな手段を使ったかをお伝えします。
ぜひ同じように事前講習に行かなくて焦っている方に参考していただけたら幸いです。ただ、試験内容は都道府県によって異なるようですのでその点は気を付けていただければと思います。
結論から言うと、合格できました。
ネット上の「事前講習なしでは100%受からない」は私が受かったことで「99%受からない」になりました。ただ実際、事前講習は行った方が色々とメリットありそうです。
狩猟免許試験(わな)とは
狩猟免許試験(わな)とは、猪や鹿、ハクビシンなどをわなで捕まえるために必要な免許試験です。狩猟免許には、第一種銃猟免許(散弾銃、ライフル銃)、第二種銃猟免許(空気銃)、わな免許、網猟免許の4種類あります。
試験は年に2,3回実施されます。
昨今のジビエブームのためかけっこう人気で直前で申し込もうとするとすでに満席になっていることが良くありました。
管理人の場合、2,3年前から免許取りたいなぁと思っていたのですが、時々HPをチェックするといつも満席で参加できませんでした。
狩猟免許試験(わな)自体は5200円(+精神診療代1200円+返信用封筒代84円)です。
普通はこの免許試験の前にある事前講習(11000円くらい)を受けるのが正規ルートです。
管理人の場合、事前講習がすでに満席で予約できず狩猟免許試験だけ申込み出来たので、「まぁ事前講習は任意でやりたい人だけきてくださいと書いてあったし大丈夫かな」と軽く思っていました。
ただ、試験一週間前に色々と調べると「事前講習を受けないと100%落ちる」というネット記事を頻繁に見かけ、終わった…と絶望していました。冷や汗ダラダラになりながら必死に事前講習なしで受かる方法を調べましたが、どこにもそんな記事は見つからなかったです。
狩猟免許試験(わな)を申し込むための準備
この章では実際の勉強方法にお伝えする前に、申し込みの準備についてお伝えします。狩猟免許の試験に受けるためには、申し込む前に色々とやることがあって、下記の4つを準備する必要があります。
- 医師による精神診断書
- 証明写真
- 収入印紙(5200円分)
- 返信用封筒(84円切手をつけたもの)
簡単に説明していきます。
・医師による精神診断書(1200円)
管理人の場合、近くの精神科の病院に連絡してみたところ、混んでいるので診察の予約が一か月先になると言われました。他をあたってみると内科で受付してくれるところがあったので、予約せず当日診断書もらえました。
・証明写真
今はスマホのアプリで証明写真が撮れるので、それを使って証明写真を作り、プリンターで印刷しましょう。(印刷はコンビニのコピー機を使っても簡単にできます)。500円払ってわざわざ証明写真機で撮影しなくても、全然問題なかったです。
・収入印紙(5200円分)
免許証持って、お近くの狩猟免許試験受付窓口へ行きました。すると、別の課で収入印紙5200円分買ってきてって言われました。
・返信用封筒(84円切手をつけたもの)
試験の受験票を送ってもらうための封筒と、切手(84円分)準備が必要です。
事前講習について
さて、狩猟免許試験を受けるうえで、受講しておくべき正規ルートがこの事前講習です。
狩猟免許試験の数週間前に開催され、管理人の地区では受講料11000円でした。(受講料の中に、狩猟読本1650円+狩猟試験例題集1650円 のテキスト代も込み)
ちなみに、狩猟読本はお近くの猟友会で購入できるそうです。
また、講習は一日がかりで行われるそうです。
試験当日に出る問題のややこしいところの見極め方などを教えてくれるそうです。また、実技試験で実際に架設を要求されるわなの取り扱い方法についてじっくり学べるので、これもメリットです。
下記、メリットデメリットをまとめてみました。
事前講習のメリット
- 受ければ受かるという安心感が得られる
- 狩猟家に必須な教本「狩猟読本」と「問題例題集」がもらえる。
- 知り合いができる
- 実技試験の罠を実際に練習できる
- 次の試験に出るところ、間際らしい問題の解答を予め教えてもらえる
事前講習のデメリット
- 11000円費用が掛かる
- 一日講習に使う必要がある。
- 講習が人気なため、なかなか予約できない
当日の狩猟免許試験(わな)の内容
当日は
9時試験開始
→・知識試験(90分)(法令、猟具、鳥獣、鳥獣の保護・管理)30問
→10時半頃 ・適性試験(視力、聴力、運動能力)
→お昼
→13時頃 ・技能試験(網・わなの判別・架設、獣の判別)
上記のようなスケジュールでした。
少し詳しく付け加えていきます。
知識試験
問題数は30問で、時間は90分あります。10問以上間違えると、午後の実技試験に出られません。
【合格基準】正答率70%以上
(問題数:計30問、制限時間:90分)・法令や狩猟免許制度等に関する知識
・猟具の種類や取り扱い等に関する知識
・狩猟鳥獣や狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣の生態等に関する知識
・個体数管理の概念等、鳥獣の保護管理に関する知識イノシシ対策の知恵袋 さんより引用
適正試験
【合格基準】視力・聴力・運動能力について、以下の基準以上であること
①視力
両眼0.5以上であること(1眼が見えない場合は、他眼の視野が左右150度以上で、視力0.5以上とする)②聴力
10メートルの距離で90デシベルの警音器の音が聞こえること(※補聴器の使用が可能)③運動能力
四肢の屈伸、挙手及び手指の運動等が可能であること(※補助具の使用が可能)イノシシ対策の知恵袋 さんより引用
その場で屈伸、体を左右にひねる、のようなラジオ体操みたいなことができるかを確認された後、
視力検査がありました。
技能試験
【合格基準】70%以上の得点
(減点方式、30点減点で失格)①鳥獣判別
狩猟鳥獣と非狩猟鳥獣について16種類を判別(獣類のみ)
※判別を間違えた場合、1種類につき2点減点②猟具の取り扱い
使用可能猟具と禁止猟具を判別し、使用可能猟具1種類について、捕獲可能な状態に組み立てを実施
※取り扱いができなかった場合、最大31点減点イノシシ対策の知恵袋 さんより引用
鳥獣判別
まず、会場前に置いてあるモニターに獣の写真が数秒画面に表示されます。
それを見て答案用紙に狩猟鳥獣か、非狩猟鳥獣かのいずれかに〇をつけ、狩猟鳥獣だったら名前を書きます。
狩猟免許(わな)では中小型獣と、大型獣からしか出題されませんでした。(鳥も出ると思ってめちゃくちゃ暗記して試験に臨んでいました。)
猟具の取り扱い
会場にずらっとわなが並べられていて、制限時間内に、どれを使って良くて使っちゃいけないかを○×で回答していきました。
管理人の地区の試験では、筒式いたちわな、筒式いたちわな(ストッパーあり)、とらばさみ、くくりわな、箱罠、はこおとしがありました。短い時間内で、○×を答えるだけで名前の記入は不要でした
実技試験
使用可能な猟具の中から一つ選び、試験官の前で実際に架設します。
管理人は、一番簡単な箱罠を選択しました。
その後試験管が実際に作動するかチェックします。
事前講習なしの場合、ここがぶっつけ本番となります。さんざんユーチューブの架設動画を見てイメージトレーニングしていましたが、初めて架設して本当に作動するのか最後の瞬間までわからず緊張しました。
ただ、試験時間は5分間あります。一回だけしか挑戦できない、とかじゃなくて、5分ももらえると思うと当日の試験前ほっとしていました。
試験勉強したこと
勉強時間
総勉強時間:約6時間
一週間前から勉強を始めました。勉強時にtoggl trackで計測していたので上記の時間は多少の誤差はあるものの、確かだと思われます。
余談ですが、管理人がtoggl trackを活用して習慣が身に着いた喜びを爆発させた記事は下記より読めます。
試験にむけてやったことは大きく分けて二つ、「過去問」と「ユーチューブの動画視聴」です。
勉強の教材について
午前中の知識試験合格者は黒板に自分の番号が張り出されるのですが、知識試験に関しては、当日受けていた人全員受かっていました。
ということは、ちゃんと過去問をやりこんでいれば問題ないと言えそうです。
過去問
・グーグルで「狩猟免許 過去問」で検索して出てきたものをほとんど解きました。
・JQOS 日本資格取得支援 狩猟免許【過去問チャレンジ】
・老いぼれハンターの気ままなブログ 「狩猟免許試験の例題、まとめてみました!」
・満員電車とおさらばしよう! 「狩猟免許試験の知識試験で「わな猟」だけに出題される法令問題
・満員電車とおさらばしよう! 「狩猟免許試験 鳥獣判別 練習問題 ~わな編~」
・ノリオのVALU日記 #42『狩猟免許問題集を作ってみたよ(随時更新予定)』
↓過去問ではないですが、各試験の傾向がわかるので、一読の価値があります。
・好きな風が吹く場所で 「狩猟免許試験(わな猟)自分の勉強方法と覚えるコツ」
・アプリの「狩猟免許試験対策問題」の問題を解きました。
ユーチューブの動画視聴
・ユーチューブの鳥獣を語呂合わせで覚えるものを全部覚えました。
わなの試験では、大型獣と中小型獣だけで大丈夫そうです。
管理人は全部覚えていきましたが鳥に関しては一問も出ませんでした。ただ、車の窓から見える湖の上に浮いてる鳥やその辺の鳥の種類を当てたくなるようになりました。
・ユーチューブの鳥獣判別をマスターしました。
その他
・ジモティの「助けて!」コーナーで、現状を伝えました。
事前講習に行っていないので、絶望していることを伝え、元々はテキストである狩猟読本と、実技で使われる箱罠を実際に体験させてくれる人がいないか募りました。
結果的に、貸してくれる方は出なかったものの、親切な方が色々と試験勉強についてお教えくださいました。
・実技試験が不安過ぎて、狩猟免許を持っている三人のハンターさんから話を聞きました。
実技試験が本当に不安だったので、知り合いに狩猟免許を持っていそうなかたを紹介してもらって、話を聞きました。結果、試験で使われる箱罠を所持されている方はいらっしゃらなかったのですが、
当日の試験内容を教えてもらえてよかったです。(試験内容は都道府県別で異なるので、過去に合格された方に情報を聞けたことはけっこう大切な工程だったと思います。)
・ハンターさんに教えてもらったイメージトレーニングで有用なユーチューブの動画
おすすめの漫画
山賊ダイアリー
この本を読んで、狩猟に興味を持ったという方もいたりします。
狩猟しながら生活する人の実体験が多く描かれていて面白く読めます。
狩猟免許試験で、過去問で出てこなかった
「フン場を作る獣はどれ?」みたいな質問でも、そういえば山賊ダイアリーで見たような…というところから「タヌキ」と答えられたり、
「ヌタ場を作る獣はどれ?」という質問も確か漫画で見たような…から「イノシシ」と答えられたり、漫画で得た知識が意外と役に立った気がします。
罠ガール
アマゾンのレビューの最初に『よくあるおっさんの趣味を女子高生にやらせることでキャッチーにした漫画。』と書かれていて笑っちゃいました。管理人もまだ読んでないですが、ニッチな罠猟と女子高生の組み合わせはおもしそうなのと、表紙がきれいなので、今度読む備忘録としてここに貼ります。
まとめと感想
本記事では、狩猟試験についてと申し込みの仕方、事前講習を受けなかった管理人がどのように勉強して本番に臨み、合格したかをお伝えしてきました。
正直絶望の中で勉強していたので、受かってめちゃくちゃホッとしています。
ただ、今回事前講習のメリットをまとめているとき事前講習の大切さをしんしんと感じました。
今後、銃の資格を取ることになった際は迷わず事前講習を受講しようと思いました。
余談:「アウトドア×女子高生」のパターンについて考察
それにしても、
・「キャンプ×女子高生」→「ゆるキャン△」
・「釣り×女子高生」→「堤防日誌」
・「原付×女子高生」→「スーパーカブ」
などアウトドアと女子高生の組み合わせの話は比較的面白いですよね。
また、少し異なりますが「ブラタモリ」では「地質学好きなタモさん×地質学知らない女子アナウンサー」という組み合わせもあります。
女子高生などの「見ていて応援したくなる対象」が「初心者から成長していく過程」を純粋に楽しむ。かつ、その成長の過程で色んな専門知識も得られるので、相乗効果でより面白い、ということでしょうか。
神話学者のジョーゼフ・キャンベルは色んな神話の中に王道パターンを見出し、それを
「英雄の旅(ヒーローズ・ジャーニー)」と呼びました。
要は、「異世界に旅たち、色んな問題を解決し、諸悪の根源と戦い勝利して故郷に帰る」というのが王道パターンです。
一方、「アウトドア×女子高生」は「行動範囲は身近なところだけ、仲間内で和気あいあいと趣味を楽しむ、色んな知識を身に着け楽しむ」というパターンが確立されつつあります。
ジョーゼフ・キャンベル流に言うと「女子高生の趣味活動(ジェーケーズ・ホビー)」とかいうふうに名付けるのでしょうか。
こういう新しい概念に名前を付けることって知的で楽しいです。
以上、余談でした。
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